まず結論から
- 公式の公表では、就職した人の94.5%が事務職でした。2019年9月〜2020年8月に就職した人の集計です。
- 同じ期間の就職では、1,000名以上の規模の会社が3割以上でした。業種は9つの区分の名前だけが出ています。
- 公式が載せた手記85人分のうち、就職・内定まで書いたのは73人でした。内定に届かずに卒業した人の手記も1件あります(V0137)。
- 障害者雇用と一般雇用の割合は載っていません。公式は、一般雇用で就職する人もいると答えています。
- 定着率は93%と91.4%の2つがあり、集計した年が違います。
どんな仕事・どんな会社に就いているか(公式の内訳)
atGPジョブトレの公式サイトには「就職実績」のページがあります。職種・業種・企業規模・年代の内訳が載っています。
内訳は、どれも2019年9月〜2020年8月に就職した人の集計です。何人を数えたかは書かれていません。2026年10月5日に確かめたページでは、内訳はどれもこの期間のものでした。
| 項目 | 公式の値 | 集計の期間と注記 |
|---|---|---|
| 職種 | 事務職での就職が94.5% | 2019年9月〜2020年8月の就職データ。 |
| 「事務職」の数え方 | 一般事務と、営業・経理・総務などの専門事務 | 郵便業務・納品作業・係員・支援員など、肉体労働を一部伴う職種は入れていません。 |
| 業種 | 9つの区分の名前だけ(割合は無し) | サービス、人材、金融、官公庁・公社・団体、ソフトウェア・通信、メーカー、鉄道・航空・運輸、医療・福祉・教育、その他(商社・不動産・マスコミ等)。 |
| 企業規模 | 1,000名以上が24%、1万名以上が12% | 100名未満7%、100名以上27%、300名以上14%、500名以上16%。公式は「1,000名以上の規模の企業への就職は3割以上」と書いています。 |
| 年代 | 30代35%、20代32%、40代31%、50代2% | 同じ期間の就職データ。 |
IT・Webのスキルを学ぶ「atGPジョブトレIT・Web」の公式サイトは、就職先の職種を別に答えています。SE、プログラマー、Webデザイナー、フロントエンドエンジニア、動画編集、DTPなどの分野に就職実績があるそうです。
公式が載せた卒業生・利用者の手記85人分を数えると
atGPジョブトレの手記・インタビューは、いくつかの場所に載っています。公式サイトのコース別のページ、公式ブログ、運営会社のウェブメディア(Media116)、就労支援の情報サイトにある事業所のブログです。
このサイトでは2026年9月29日に、81ページ・85人分を保存して1人ずつ読みました。どれも事業所が選んで載せたもので、掲載は2015年から2026年にわたります。
数えたのは、手記に書かれていることの件数です。就職した人の割合ではありません。85人のうち、就職・内定まで書いているのは73人でした。
残る12人は、通所中の利用者の手記と、就職先にふれていない手記です。そのうち1人は、丸2年通って内定に届かずに卒業したと書いています(V0137)。
業種と職種で見ると
就職・内定まで書いた73人について、手記の見出しと本文から就職先の業種と職種を数えました。業種はIT・通信・ゲームが11人で最も多く、金融・保険の8人が続きます。
| 軸 | 区分 | 人数 |
|---|---|---|
| 業種 | IT・通信・ゲーム | 11人 |
| 業種 | 金融・保険 | 8人 |
| 業種 | メーカー・製薬 | 6人 |
| 業種 | 商社・卸 | 5人 |
| 業種 | 人材(派遣・紹介) | 5人 |
| 業種 | 建設・インフラ(通信設備・通信建設を含む) | 5人 |
| 業種 | 出版・広告・動画配信 | 3人 |
| 業種 | コンサルティング・監査 | 3人 |
| 業種 | アパレル | 3人 |
| 業種 | その他(官公庁・教育・医療関連・不動産・レジャー・航空・商業施設・食品) | 8人 |
| 業種 | 書いていない | 16人 |
| 職種 | 事務(総務・人事・一般事務・営業事務など) | 14人 |
| 職種 | デザイナー・コーダー・Web制作 | 5人 |
| 職種 | その他(社内の郵便物の仕分け・広報・CADオペレーター・体を動かす仕事) | 4人 |
| 職種 | 書いていない | 50人 |
手記の多くは、会社の業種だけを書いて職種を書いていません。職種まで書いた23人のうち、14人が事務でした。デザイナー・コーダー・Web制作の5人のうち4人は、IT・Webの拠点のページに載る卒業生です。
雇われ方と、通所した期間で見ると
雇われ方を書いていない手記が49人と最も多くありました。書いている中では、障害者雇用・障害者枠で就いた、または障害者枠で就職活動をした人が10人です。
| 軸 | 区分 | 人数 |
|---|---|---|
| 雇われ方 | 障害者雇用・障害者枠で就いた、または障害者枠で就職活動をした | 10人 |
| 雇われ方 | 障害者雇用を考えて通い始めた(就いた形は書いていない) | 5人 |
| 雇われ方 | 障害を職場に伝えて就職した(障害者雇用とは書いていない) | 7人 |
| 雇われ方 | 特例子会社に就いた | 1人 |
| 雇われ方 | 病名を伏せて元の業界に転職した | 1人 |
| 雇われ方 | 書いていない | 49人 |
| 身分 | 正社員(うち1人は契約社員から登用) | 2人 |
| 身分 | 嘱託社員・臨時社員・契約期間つき | 3人 |
| 通所した期間 | 6か月以下 | 19人 |
| 通所した期間 | 7か月〜1年 | 20人 |
| 通所した期間 | 1年1か月〜1年半 | 11人 |
| 通所した期間 | 1年7か月〜2年 | 6人 |
| 通所した期間 | 2年を超える | 1人 |
| 通所した期間 | 書いていない | 16人 |
通所した期間を書いた57人では、短い人で3か月、長い人で2年を超えていました。6か月以下が19人、7か月〜1年が20人です。
手帳を持たずに、病気を職場に伝えて就職した人の手記もあります(V0136)。病名は伏せ、休職して辞めたことを書類に書いて、元の業界に戻った人もいました(V0148)。
障害者雇用か一般雇用か・どんな雇われ方で就職しているか
障害者雇用と一般雇用の割合は、公式の就職実績のページに載っていません。障害者雇用は、障害を職場に伝え、配慮を受けながら働く雇われ方です(V0502)。
公式は就職活動研修で、障害者雇用と一般雇用のメリットとデメリットを扱っています。家族向けのページでは「必ず障害者雇用で就職しなければいけないわけではありません」と答えています。一般雇用で就職する人もいるそうです。
atGPジョブトレIT・Webは、2024年度に就職した人の約3人に1人が在宅ワークだと公表しています。一部在宅と完全在宅の両方を含む数字です。
手記を数えた結果では、障害者雇用・障害者枠と書く人が10人、障害を伝えて就職したと書く人が7人でした。
特例子会社に就いた人の話(本人が公開している体験談)
特例子会社は、障害者雇用を進めるためにつくられた会社です。atGPジョブトレIT・Webに約1年8か月通い、特例子会社に就いた人が、noteに就職活動の経緯を書いています。
atGPジョブトレIT・Webに約1年8か月通った本人(個人の記事・note)
一方、障害者採用としてのWebデザイナーの求人はほとんど見つからないレベルだったので、ずっとクローズ(一般)の就職活動をしていました。
3社目になるので私自身も慎重に行っていましたが、現場で評価されても書類の休職期間などから(かな…?)でお見送りになることが多く、話をお聞きした会社さんは40社弱はありました。
この人は、ある会社の内定を受けたあと、通院の時間を確かめて取り消された経緯も書いています。記事を書いた時点では、特例子会社で働いていました。公式も、一般雇用で就職する人がいると答えています。
探したところ: 特例子会社で働き始めました。(1)(note)(台帳: V0604)
半年で就職し、特例子会社で働く人のインタビュー記事もあります。本人は事業所について「話を聞いてもらえ、ちゃんと支えてもらえ、(就労移行支援の)イメージを覆してくれた」と話しています(V0697)。
この人の職場では、同じチームに障害のある人はいないそうです。だからこそ弱みを伝えて受け入れられる環境が大切だ、と記事は伝えています(V0697)。記事は2024年8月、当事者を取材するInclusive Hubに載りました。同じ媒体には、atGPジョブトレの職員のインタビューも載っています。
公式が名前を出している就職先の例
atGPジョブトレIT・Webの公式サイトのトップに、「就職先企業 ※一部抜粋」として20社の名前が並んでいます。
注記には、「atGPジョブトレ」と「atGPジョブトレIT・Web」のサービス全体の実績だとあります。ほかにも多数あり、順不同です。人数は書かれていません。2026年10月5日に確かめた内容です。
障害別コースの就職実績のページには、企業名の一覧はありません。業種の名前が並ぶだけです。載っている社名は例であって、就職先の全体ではありません。
就職率と定着率は何の数字か(集計の時期と数え方)
atGPジョブトレの数字は、ページごとに集計の時期が違います。母数(何人を数えたか)は、どの数字にも書かれていません。
| 数字 | 集計の期間・時点 | 何の数字か・どのページか |
|---|---|---|
| 就職率97% | 2023年4月〜2024年3月の就職データ | 公式サイトのトップに掲げた数字。 |
| 職場定着率93% | 2023年に就職した人の半年後 | 就職実績のページとトップ。本文では「9割以上」。 |
| 就職後の定着率91.4% | 2019年度実績 | 2021年5月24日のブランド統合のお知らせ。何か月後の定着かは書かれていません。 |
| 1事業所あたり年24名 | 2019年4月〜2020年3月の就職データ | 就職実績のページ。比べている全国平均3.4名は、厚生労働省「平成30年社会福祉施設等調査」からの引用です。 |
| 通所が役立っている86.6% | 2020年11月の卒業生アンケート | 就職実績のページ。「非常に役立っている」41.1%と「役立っているところがある」45.5%の合計。 |
| IT・Webの就職率98% | 2023年5月〜2024年4月の就職データ | atGPジョブトレIT・Webのトップ。 |
| IT・Webの平均月給「プラス8.4万円」 | 卒業生は2021年3月1日〜2023年12月18日の就職 | 比べた相手は厚生労働省の平成30年度障害者雇用実態調査の、精神障害者の平均月給。月給の額は書かれていません。 |
| 就職実績「No1」 | 平成27年度の調査と、2021年2月の調査 | 2019年2月の発表とIT・Webのトップの注記。 |
| 拠点ごとの就職者数 | — | 就職実績のページには載っていません。 |
定着率が2つあるのは、集計した年が違うからです。93%は2023年に就職した人の半年後、91.4%は2019年度の実績です。
1事業所あたり24名と比べている全国平均3.4名は、平成30年の調査の値です。atGPジョブトレの値(2019年4月〜2020年3月)とは、時期も出どころも違います。
「No1」の根拠は、2019年2月の発表では平成27年度の就労移行等実態調査です。対象は当時の秋葉原・大手町・大阪の事業所の実績でした。
IT・Webのトップは、運営会社のatGPの就職決定数が東京・大阪で1位という項目に、2021年2月の民間の調査を注記しています。
拠点ごとの就職者数は、拠点のページで扱います。
求人はどこから来るか・就職したあとの支え
公式は、就職までにかかる期間の目安を出していません。人によって違うとして、じっくり取り組むことを勧めています。利用できる期間は、原則として最大2年です。
求人の出どころと、atGP の転職サービスとの関係
atGPジョブトレの利用中は、同じ会社の就職支援サービス(atGPエージェント・atGP転職)も一緒に使えます。求人は、次のような道から来ます。
| 出どころ | 何をしてくれるか |
|---|---|
| atGPの就職支援サービス | atGPジョブトレと並行して使えます。プロに相談しながら進める、求人を探す、スカウトを受ける、の3つです。 |
| ハローワークなど外部の機関 | 外部の機関や外部サービスと連携して、希望の就職先を探します。 |
| 合同面接会・実習面接会 | 職員が同行します。 |
| 事業所見学会 | 企業の採用担当者を事業所に招き、訓練の成果を発表します。就職に結びつくこともあります。 |
| 企業での実習(インターン) | 企業で実際の業務を体験します。合えば、そのまま採用選考に進む場合もあります。 |
| 卒業生の就職先 | 卒業生の就職先企業から、求人情報をもらう機会が多いそうです。 |
応募書類の作成と添削、個別の面接練習と面接への同席もあります。公式が打ち出す「取引企業2000社以上」は、atGPのサービス全体の数です。利用者が就職した会社の数とは別の数字です。
梅田の事業所に6か月通い、Web制作職の内定を得た人の手記が、公式ブログにあります。
atGPジョブトレ梅田の卒業生・40代女性(公式ブログの手記・2017年7月掲載)
入所から2か月後、就職アドバイザーの方にサポートいただきながら就職活動を開始し、紆余曲折ありながらも就職活動4ヶ月目に希望していたWeb制作職の内定を得ることができました。事務職の求人が大半を占める現実にあって、担当職員の方から適宜アドバイスをいただけたことは、とても感謝しています。
この人はそれまで障害を伝えずに働き、体調を崩したのを機に障害者枠を考えて通い始めました。公式の就職実績のページでも、事務職での就職が94.5%を占めています。
探したところ: 卒業生 Bさん(atGPジョブトレ公式ブログ)(台帳: V0176)
紹介された求人に不満を書いた人もいます。2017年9月、匿名掲示板の5ちゃんねるに、前身の事業所(リンクビー)に9か月通って紹介された求人への不満が書き込まれました(V0723)。
就職した人の口コミに出てくる話題
プログラミングスクールの口コミサイトに、約1年・1年以上通って就職した人の口コミが2件あります。投稿は2023年1月と2月です(V0603)。
話題は、模擬面接や就職相談で支えられたこと、職場に近い訓練の場だったことです。一方で2件とも、職員が全体の場で利用者の短所や特性にふれることを書いています。1件は、ほかの事業所をもっと検討すればよかったと振り返っています(V0603)。
就職したあとの支え(期間・中身・費用)
希望すれば、就職したあとも最大3年半の支えを受けられます。最初の6か月は就労移行支援のサービスとして支えます。7か月目からは、別に「定着支援サービス」の契約が要ります。
定着支援サービスは、就職した人が働き続けられるように支えるサービスです。契約できる期間は最大3年間です。
| 時期 | 受けられる支え | 利用者の負担 |
|---|---|---|
| 就職から6か月 | 就労移行支援のサービスとして支えます。 | FAQ が負担にふれているのは7か月目以降です。 |
| 7か月目から最大3年 | 別に契約する「定着支援サービス」で支えます。 | 前年度の収入によって、月3,000円程度の負担が出る場合があります。 |
支えの中身は、定期面談、就職先への定期訪問、定期アンケート、OBOG会の4つです。訪問では、人事や上司だけでなく、教育担当や同僚にも話を聞きます。OBOG会は月に1回程度、卒業した事業所で開かれます。
仕事が続かなかったとき(定着支援と再利用)
障害者雇用で就職した人が、入社から半年ほどで様子が変わった例があります。定着支援に入っていた秋葉原第2の施設長が、異変に気づきました(V0698)。
施設長は別の病院を勧め、受診に付き添って経過を説明しました(V0698)。この人は後に契約満了で会社を辞め、同じ事業所をもう一度利用しています(V0699)。
施設長は「あなたのせいじゃなくて、病気がそうさせているから」と寄り添い続けたそうです(V0699)。事業所は再利用の手続きを手伝い、再び2年間使えるよう行政に掛け合いました(V0699)。
2つの記事は2025年12月に、Inclusive Hubの前編と後編として載りました。利用できる期間は、原則として最大2年です。
atGPジョブトレの就職先についてよくある質問
atGPの求人と、atGPジョブトレの就職先は同じですか?
別のものです。atGPは、同じ会社が運営する障害のある人向けの就職・転職サービスです。atGPジョブトレの利用中は、atGPの就職支援サービスも一緒に使えます。
障害者雇用でしか就職できませんか?
公式は、必ず障害者雇用で就職しなければいけないわけではなく、一般雇用で就職する人もいると答えています。利用を始める段階でどちらにするか決める必要はない、とも答えています。割合は、就職実績のページに載っていません。
事務職以外の仕事にも就けますか?
公式の内訳では、2019年9月〜2020年8月の就職の94.5%が事務職でした。atGPジョブトレIT・Webは、SE・プログラマー・Webデザイナー・動画編集・DTPなどの分野に就職実績があると答えています。
就職までにどのくらいかかりますか?
公式は目安を出しておらず、人によって違うと答えています。利用できる期間は、原則として最大2年です。手記で通所期間を書いた57人では、短い人で3か月(V0146)、長い人は2年を超えていました(V0151)。
就職したあとの給料は分かりますか?
就職実績のページに、給料の記載はありません。atGPジョブトレIT・Webは、卒業生の平均月給が精神障害者の平均月給よりプラス8.4万円だと打ち出しています。比べた相手は平成30年度の調査で、月給の額そのものは書かれていません。
定着率は93%と91.4%のどちらが正しいですか?
どちらも公式の数字で、集計した年が違います。93%は、2023年に就職した人の半年後の定着率です。91.4%は2019年度の実績で、何か月後かは書かれていません。
就職したあとも相談できますか?費用はかかりますか?
希望すれば、就職後も最大3年半の支えがあります。7か月目からは別に定着支援サービスの契約が要ります。その場合、前年度の収入によって月3,000円程度の負担が出ることがあります。
就職できなかった人はいますか?
就職しなかった人の数は、公式のトップと就職実績のページに載っていません。公式ブログには、丸2年通って内定に届かずに卒業した人の手記が1件あります(V0137)。この人は、別の福祉サービスで学び直すと書いています(V0137)。